君が、嫌い
 
 
 
 
 

 

君が、嫌い
 

 
 
 
1.心惑わされるのは、嫌い

2.君なしの日々は、嫌い

3.沈黙の時間が、嫌い

4.幸せそうな笑顔も、嫌い

5.僕を見ない君が、嫌い
 
お題by確かに恋だった様
 
 
 
確かに恋だったさまのお題に挑戦です。
 
 
 
今回は5人の男性から見た秀麗への気持ちです
 
    劉輝から秀麗
    燕青から秀麗
    清雅から秀麗
    絳攸から秀麗
    静蘭から秀麗
 
それぞれの時間は全く別のものです。
絳攸編は秀麗と夫婦設定
絳攸以外は悲恋ですのでご注意ください。
清雅と静蘭は黒いです。
ご了承のうえお進みください。
 
戻る方は、こちらから
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
君が、嫌い
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1.     心惑わされるのは、嫌い (劉輝→秀麗)
 
 
 
嫌い・嫌い・好き。
 
彼女は悪くない。
 
好き・好き・嫌い。
 
ただ自分が弱いだけ。
 
荷物が重いなら一緒に背負うという約束。
 
彼女が違えたわけじゃない。
 
無理に手折って嫌われるか、見送って誰かの隣で花開くのを見るか。
 
どちらも嫌とこねる駄々。
 
こんなことをさせるのは全て彼女。
 
彼女を知らなければ、悲しみもなかった。
 
彼女を知らなければ、喜びもなかった。
 
器だった自分に魂を吹き込んだのは彼女。
 
彼女が現れたのは自分のため。
 
彼女が去ったのも自分のため。
 
いっそ籠の中に閉じ込めてしまおう。
 
そうすれば、もうそれ以上に嫌われることはないから。
 
こんな痛みを教えた君が嫌い。
 
嘘。
 
好き。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


2.君なしの日々は、嫌い (燕青→秀麗)
 
 
 
 
 
 
 
 
いつの間にか甘えていたよ。
 
あまりに自然に入っているから。
 
そうやっていつの間にか、俺の夢も何もすべてを独占している。
 
でもそんな姫さんが好きなんだから、やっぱり仕方ないな。
 
欲張りな俺だけど、姫さんには贅沢は言わないぜ。
 
いつも俺の前にいて。そうしたら安心して守ってやれるから。
 
後ろにいろって言ったって、どうせすぐ飛んでいくだろう?
 
それなら見える分、前のほうがいいや。
 
どこにだってついていってやるよ。
 
そうやって飛び回って、心が疲れて泣きたくなったら、泣くのは俺の所にして。
 
そう思っていたのに。
 
遠い空の下、泣くのを我慢していないか、そればかりが気にかかる。
 
飛んでいきたいのに、それすらも許してくれないから、姫さんなしの日々は、嫌。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 
 
 

3.沈黙の時間が、嫌い (清雅→秀麗)

 
 
 
 
いつまでそうやって黙っているつもりだ。
 
泣くとか叫ぶとか喚くとかそういうのがおまえだろう。
 
黙って、ただそこにいるなんて馬鹿にしている。
 
いつも全力のおまえだから面白いのに。
 
そうやってだまって心は一体何を見ている。
 
お前の前にいるのは俺だ。
 
いつものように煩くしろよ。
 
そうしないと酷い事とをしなければいけなくなる。
 
心も躯も無理やりに開いて、そうしたら俺のことを見るだろう?
 
泣いて喚いてそうして一生おれのことを恨むがいい。
 
そうやっておまえの心に俺を刻んでやろうか。
 
そんなことを考えてしまうから。
 
だからいつものように煩くして。
 
君との沈黙の時間が、嫌い。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

4.幸せそうな笑顔も、嫌い (絳攸→秀麗)

 
 
 
 
 
 
 
 お前はいつも前を見ている。
 
そうするように教えたのは自分。
 
それなのにこんなことを言ったら勝手だと怒るだろうか?
 
もう少しだけ、この腕の中にいて。
 
ずっと閉じ込めておきたいけれど、それはできないから。
 
せめて朝までは俺だけのものでいて。
 
仕事に向かうお前の笑顔は幸せそのもの。
 
戦いに向かうのにそこに喜びを見ている
 
悔しいけれど、笑顔で送り出すから。
 
だから、朝までは、この腕の中にいて。
 
いっそこのまま朝が訪れなければいいのに。
 
朝になれば君は行ってしまう。
 
そんな朝も、君の笑顔も嫌い。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

5.僕を見ない君が、嫌い (静蘭→秀麗)
 
 
 
 
 
貴女ほど残酷な人を私は知らない。
 
残虐な人なら数えることもできない。
 
けれど貴女は残酷な人。
 
その笑顔のために何もかも投げ出すことを、私は厭いはしないのに。
 
その笑顔ですべて守って、私には何も差し出させてくれない。
 
その笑顔のためになら、この命すら差し出してもかまわないのに。
 
その笑顔を見せるのはいつも私ではない男のため。
 
こんな私を貴女は知らない。
 
貴女が知りたいのはこんな私ではないから。
 
こんな私を貴女は知らない。
 
貴女のためなら私は私を殺せるから。
 
でも本当は見てほしい。
 
渦巻く過去も迸る激情も何もかも。
 
けれど貴女は残酷な人。
 
こんな私を見ないで笑顔を向けるから。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 
 
 
 
 
 

 

 

 

 

 


あとがき、という名の言い訳。
 
 
やはりお題は難しいですね。
今回も5人の男という縛りを勝手に追加したので
またもあっぷあっぷしながら書きました。
燕青と清雅は初書き、のはず
 
 
 
それぞれのお話に少しずつ言い訳を
 
 
 
 
心惑わされるのは、嫌い
 
劉輝→秀麗
 
この話は、王と劉輝の間で揺れている劉輝を書いたつもりです。
王を見てくれる人はたくさんいるけれど、劉輝を見てくれる人はいない。
ただひとり秀麗だけが見てくれる。
その秀麗を手に入れるために王の位という道具を使ったら卑怯なのはわかっているけれど、そうしてでも手に入れたいほどの耐えがたい孤独。
秀麗という温もりを知らなければ、こんな寂しさも知らなかったはず、というような気持ちです。
 
 
 
 
 

君なしの日々は、嫌い
 
燕青→秀麗
 
燕青はね、小鈴の中ではすごくいい男ですよ。
借金背負っているのがいただけませんが、バカのようで大切なことはわかっていて、そして精神的にも強い。
官吏として上に行くことを要求されて、ぎりぎりまで張りつめた秀麗が涙を見せることができるのは、父か燕青の前だけだと思うんです。
燕青もそれを知っていて、引き受けているのではないかと。
大人の男の愛。
 
 
 

沈黙の時間が、嫌い
 
清雅→秀麗
 
清雅はああみえて、結構心の問題には、チキンなのではないかなと思いこんな形に。
他人を信じていないから、目に見えないものが怖いのではないかと思います。
たぶん秀麗は王のこととか、仲間のこととか考えているのでしょうが、二人きりの時は相手をしてほしい清雅くんなのです。
それが意地悪でしか表現できないかわいそうな子。
 
 
 
 
 
幸せそうな笑顔も、嫌い

絳攸→秀麗
 
夫婦の明け方。
心配性で嫉妬深い旦那さま。
目の前ではかっこつけて行ってこいって背中まで押しちゃうけど、本当は自分の奥さんだけにおさまっていてほしい。
無理だってわかっているけど。せめて今だけ抱きしめる。
そんなイメージです。
 
 
 
 
 
僕を見ない君が、嫌い
 
静蘭→秀麗
 
二人の間には10年以上の歴史があって、その間一度もダークサイド静蘭を秀麗には見せていないわけですよね。
それがもしかしたら、静蘭の越えられない壁なのではないかと思い書いた作品。
家族として優しくされればされるほど、家族ではない特別な存在になりたいとな願ってしまう。
でも、今の優しい時間を壊すのが嫌。そんな葛藤です。