つま先立ちの恋

 

つま先立ちの恋に5題


1.あなたの見る世界

2.大人ぶったセリフ

3.視線を交わらせて

4.届かなかった指先

5.等身大のわたしを



素敵お題by
 
 


 
 
1.    あなたの見る世界
 
 
 
 
目指す先の世界にいる人だったから出逢ったの。
 
ここまでおいでと
 
いとも簡単に手招きし
 
仕方がないからと
 
簡単に私を突き落とす。
 
それでも必ず追い付いてくるのだろうと笑う。
 
自分の弟子なんだから当然だと微笑む。
 
いつか、並んで、見ることができるはず。
 
理由は簡単。
 
私があきらめないから。
 
同じ高さで、あなたの見る世界を見るまでは。
 
だから、待っていてくださいね。
 
 
 



2.大人ぶったセリフ
 


 
俺は手は引いてやれないといった。
 
半分は本心。
 
というか理性。
 
半分は嘘。
 
感情は正直。
 
いばらの道を裸足でかけぬけろを言ったのは俺。
 
本当は抱きしめて閉じ込めてしまいたいけれど。
 
君が見ているのは、目標としての俺だから。
 
それなら追い付いてくるその日まで、この場所で待っていることにするよ。
 
待つって結構辛いんだ。
 
そんなことは、君には見せないけどね。
 
だから、なるべく早くここまでおいで。
 
俺が余裕を保てるうちに。
 
それが本当のお願いさ。


 

 
3視線を交わらせて
 
 
 
久方ぶりの貴陽。
 
私は州牧、貴方は王の側近。
 
あなたは花で、私は蕾。
 
駆け出せば触れられるほどに近くて、それでもまだ遠いこの距離。
 
だってこの官位は特例だから。
 
それでもあなたが与えてくれた機会だから、逃しなどしない。
 
期待以上を見せたいから。
 
それでも、一瞬だけ、いいでしょう。
 
この距離を保ったまま、視線だけならいいでしょう。
 
いつか必ず、隣に並びます、それまで待っていてくださいと。
 
勝手なお願いだけど、そう望むことくらいはいいでしょう。
 
それだけでまた、私は戦いに出て行けるから。
 


 

 
4.届かなかった指先
 
 
 
 
いつもお前はそうだ。
 
いとも簡単に、そして鮮やかに、俺の予想を超えていく。
 
だけど、これは本当に予想外。
 
あんなにも艶やかになって戻ってくるなんて反則だ。
 
待っているのが不安になる。
 
横からすぐにでも攫われそうだ。
 
やっぱり、俺しか気づいていないときに、捕まえておくべきだったのだ。
 
今からでも遅くない。
 
そう思ってはみたけれど。
 
休むことなく戦い続けるお前を見たら、そんなことは言えやしなかった。
 
捕まえるために伸ばした指だから、不自然な形のままで、行って来いと手を振った。
 
次こそは必ず、必ず捕まえてやる。


 

 

 
5.等身大のわたしを
 
 
 
 
駈けて駆けて遠い地の星の下で、やっとあなたのことを思い出す。
 
気遣わしげな眼をしていた。
 
それでも見送ってくれたのは、
 
私との約束を覚えていてくださったからと自惚れてもいいですか?
 
いつになったら見せることができるのでしょう。
 
つま先立ちでなく、横に並ぶ私を。
 
でも、その時が来るのが怖くもあります。
 
追いかけるという口実がなくなったとき、
 
私はどうしたらあなたのそばにいられるのでしょう?
 
そう考えると、追いかけ続けていたいと思ってしまう。
 
見せたい、見せたくない本当の私。
 
でも今はまだ、前に進むだけ。
 
 
 
 
 
 
 
あとがき、という名の言い訳
 
携帯版拍手お礼SSとして使用していたものを再掲載。
 
指でも触れあおうものならお互いに真っ赤になってしゃべれなくなってしまうような李姫です。
 
李姫ほどお互いに片思いの似合うカップル(もはやそれはカップルというのかはさておき)もいないでしょう。
 
でも一度距離が縮まれば、ばかっぷるになると思う。
 
父茶も甘く感じるほどの甘々度。
 
こんな李姫も好きです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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