桜の時 3-9
 
 
「たぶん今日は立てないだろうから、俺が洗ってやる。」
 
そう言うと絳攸は部屋に付設した露天風呂の方へと歩いていく。
 
それに気付いた秀麗は必死に抵抗する。
 
「や、ちょっと、絳攸さま。おろしてください。」
 
「自分では歩けないのだから仕方ないだろう。」
 
さも当然というように言い切る絳攸の前に、秀麗の抵抗も空しく響くだけだった
 
 
 
結局二人仲良く露天風呂につかりながら、
 
ふと秀麗の顔色が曇ったのを見て、絳攸は声をかける。
 
「どうした?痛むのか?」
 
「いいえ。絳攸さまの背中に、傷をつけてしまいました。」
 
どうやら、秀麗の爪によってつけられた背の爪痕を気にしているらしい。
 
「気にするな。そんなものすぐに治る。」
 
「でも、申し訳なくて。」
 
まだ気に病む様な秀麗も可愛いが。
 
「俺が秀麗のものだってしるしが付いていると思えばいい。」
 
そう言うと絳攸は、それ以上余計なことが言えないように秀麗の唇を封じてしまう。
 
空に浮かぶ円い月が二人の門出を祝うようにひときわ輝いていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
あとがき、という名の言い訳
 
小鈴なりの精一杯の初々しさです。
初々しいかなぁ?
秀麗が大胆だったり、絳攸が案外余裕だったりで、突っ込みどころはおおくて、
もっともっと初々しいものもあるのでしょうが。
でもそこは多少夢を見たいな~ということで、この辺が着地点となりました。

長々と連載しましたが、

お付き合いくださった皆様どうもありがとうございました。

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これを書いていたときは、まだ桜が咲くか咲かないか位のときだったのですが、
分割して連載したので、神戸では桜の葉も目にするようになりました。
ということは、入学式シーズン!
秀麗は大学生になって、絳攸の後輩になるわけです。
あ~それを想像するとまたいろいろ楽しそう。
原作より年齢差を小さくしているので、絳攸が4年生で秀麗が1年生なのです。
サークルの勧誘を受ける秀麗と嫉妬する絳攸とか、
TA絳攸と受講生秀麗とか超萌える。
(TAというのは、教授や準教授の講義を手助けする研究室の学生です。
これが共通語なのか自信がないので念のため書いておきます)
原作の年齢差で、サラリーマン絳攸と高校卒業したて秀麗だと、
なんかイヤラシイ感じがしたので無理やり絳攸を学生にしました。
もう20歳以上であれば同じことなのですが、
なんか大学生だと許容範囲な感じがするのはなぜ?
あ、でもサラリーマン楸瑛と現役女子高生秀麗は想像できる。
結局個人のポテンシャルの差?
 

2010年4月12日 小鈴

 
 
 
 
 
 
 
 
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