「しゅーれい、見せて」
声が、降ってくる。
秀麗は、もうどうしたらいいかわからなくて、ぎゅっと目を閉じた。
見せて、と言われても、もうこれ以上見せられるものなんて何もない。
羽織っていたパーカーの前は開かれ、肩まではだけられて。
トップスの紐は外されて、ベッドの下。
引き下ろされたビキニのパンツは、足首のあたりに丸まっている。
明かりはつけたまま。
絳攸は自分の体の上。
全部見せてる。
全て晒している。
もう、見えない部分なんて、もうなにひとつないはずなのに、彼はまだ、見せてと要求してくる。
初めてなのに。
このささやかな胸もその色づく頂きも、足の間の薄い茂みも、誰にも見せたことなんてなかった。
初めて、こんなところまで見せているのに。
恥ずかしくて涙がこぼれそうだった。
肩を縮めて、胸を覆い隠そうとした腕を絳攸が捕らえる。
「や、やめて、下さい。もう、見ないで……」
「なんれ?こんなに……きれいなのに」
「……恥ずかしいです」
「はずかしいだけなんらろ?いやじゃ…ないんらよな」
「え……」
恥ずかしくて、胸が強く拍動を刻む。
顔がほてる。
頭がくらくらして指先が震える。
涙が零れそう。
そう。
でも、嫌じゃない。
抱きついてしまいそうになるのを堪えていた、ずっと。
顔を真っ赤にして涙を浮かべたまま、それでも嘘はつけなくて、秀麗はこくりと頷く。
それを見た絳攸は、嬉しそうに笑って秀麗の首筋に顔を埋めた。
もう、見せられるものは、すべて見せたと思ってたけれど、本当はまだあるのだ、と秀麗は目を閉じて、絳攸の口づけを受けながら考える。
唇に割って入った舌が熱くて心地好くて、秀麗は腕を絳攸の肩に回した。
あと、見せられるものがあるとすれば、この心の中だけ。
絳攸に惹かれている、この感情だけ。
「しゅーれい、みせて」
「な、……なに、を、ですか?」
「しゅーれいの、一番いやらしい顔」
「…え、だ、だめです……そんなの、見せられない……」
「みたい」
こんなもの送ってこられて、私は萌えで死ぬところでした。
ごねてごねて掲載OKいただきました。
はっちさま、ありがとうございました!