八仙花


 
 
それはまだ、彼が恋を知らず、彼女もまた、恋を知らなかった頃の話。
 
 
 
  八仙花
 
 
 
 
 
第一話
 
今日は、四日に一度の食事会の日。
楸瑛は『親友』の李絳攸を待っていた。
絳攸に言わせると二人の関係は『腐れ縁』らしいが、
それでも楸瑛は断固として『親友』を主張している.。
 
時間になっても軒宿りに絳攸が現れないのはいつものことであるので、
頃合いを見計らって探しに行くには自分の役目と楸瑛は自負していた。
今日もそろそろか、そんなことを思ったときに彼は現れた。
 
腕いっぱいの紫陽花の花と共に。
 
「……、絳攸、キミそれどうしたの?」
自慢ではないが彼の事なら大抵は知っているはずだけれど、今回ばかりは訳がわからない。
そんな思いを抱えた楸瑛の問いに、絳攸は不機嫌そうに答えた。
「……あの昏君(バカ)の遣いだ」
 
それで漸く得心が行った。
後宮の庭院は確かに、紫陽花の見頃である。
 
そして、絳攸の腕に抱えられた花の色は――紫。
あの真っ直ぐな王の気質がそのまま現れた様な、優しい紫。
 
本当は、彼もまた、恋しい少女の作る料理を、敬愛する兄のいる家で
共に卓子を囲むことを願ってやまない筈だ。
 
けれど。
 
至高の存在であるが故に、そのささやかな願いが叶えられることは、ない。
明日は、絳攸のいない隙を見計らって秀麗殿の様子を少しだけ主上に話して差し上げよう、そう思った楸瑛だった。
 
絳攸と共に軒に揺られ、紅区の邵可邸へとたどり着く。
一足先に帰っていた静蘭が出迎えに出て、そして、絳攸の腕の中の紫陽花を見るなり眉を顰める。
お嬢様第一主義のこの美麗な家人からすれば、絳攸もまた、油断ならない対象であるらしい。
 
第一、絳攸と花というのが、そもそも結びつかない。
いろいろあって女人嫌いになる、その前の彼のことも、楸瑛は知っているけれど、
絳攸はあまり女人を喜ばす方法に長けている方では無かった。
 
それでも、十六歳の少年ならそんなものだと思う。
普通は、その後に自然と覚えていくものなのだ。
 
しかし、絳攸に限って言えばその普通からは外れてしまった。
少し彼と付き合えば、それは分かる。
だからこそ、腕いっぱいに花を抱えた彼というのが、静蘭の目には異様に映ったのだろう。
 
一方の絳攸は、静蘭の視線の意味など全く気付いてもいない様子だったけれど、
静蘭の機嫌が悪くなるのは、楸瑛としても望ましいことではないから、先回りして助け船を出す。
 
「これはね、主上が秀麗殿へと渡して下さったんだよ」
 
主上、の一言で静蘭の表情が一気に柔らかくなる。
「そうでしたか、それではお嬢様と旦那様にお見せした後に、居間にでも活けることにしましょう」
 
お嬢様の室には、今日私がお花をお持ちしたばかりですから。
そうさらりと言い放ち背を向けるその姿は、かつての公子様を少しだけ思い出させて、
楸瑛は自分の背中に冷たいものが伝い落ちるのを感じた。
 
思わず身震いすると、隣で絳攸が訝しげな顔をする。
「なんだ楸瑛? 雨の中の鍛錬で風邪か? 主上にうつさないようにしろよ」
そういうと絳攸は、静蘭の後をついて邸内へと進んでいく。
楸瑛は絳攸に気付かれぬように溜息を一つつき、そして二人の背中を追ったのだった。
 

 

 
 
第二話
 
今日の静蘭は、饒舌だ。
 
邵可はそう思った。
 
そして、それを少しだけ嬉しく思った。
娘と、静蘭と三人暮しになって、もう随分になる。
妻のいたころは、賑やかだった邸も、三人暮らしとなってからは、その広さがかえって寂しさを強調する様な気がしていた。
 
特に、静蘭は。
 
三人で卓子を囲む時、秀麗や自分の言葉に相槌を打つ事はするけれど、静蘭が自分から積極的に話をすることは少ない。
秀麗同様に、彼の事も息子だと思って共に過ごしてきた。
 
けれど静蘭の方は違ったようで。
いつもどこか遠慮をしているような、少しだけ距離を取っている様な、そんなところがあった。
 
それはそれで、彼の人生ではあるのだからと、深く干渉などしなかったけれど、実のところ、少しだけ寂しくもあるのだ。
 
けれど、ふとしたきっかけでこの食卓の上を賑やかな会話が飛び交うようになった。
 
例えそのきっかけ自体が某タヌキ爺による作略であり、
それがとても気にくわないというのが邵可の本心であろうとも、
その事がもたらした結果自体はそう悪いものではない。
 
夢を再び追い始めた娘、そして、静蘭も何かと口数が増えた。
静蘭はもちろん、自分と秀麗の大切な家族だけれども、
けして、この邸内に静蘭を閉じ込めたい訳では無いのだ。
 
おそらくは、彼はその生い立ちから、
失うことをとても恐れているのだろうと思う。
 
無理もない。
自分が迎えに行くのが少しばかり遅れたばかりに、
ようやく見つけた彼は、ぼろぼろだった。
 
幼かった劉輝公子がその姿を探し求め、幾夜も泣いて過ごしていたことを思えば、
清苑公子だったころの彼が、どれだけ幼い弟を可愛がっていたかなど想像に難くない。
 
そうして、劉輝公子の心の支えが兄だったように、
あの百鬼夜行の様な宮廷を、齢十三にして渡り歩いていた少年が
幼い弟にどれだけ心を救われていたことだろう。
 
彼らは別れの言葉は交わさなかった筈。
 
自分だけを慕う幼い弟公子を残して流罪となった彼が、
次に見つけた大切なものを失いたくないと思うことを、
そして失うことを恐れて近付けずにいることを誰も責める事などできない。
 
けれど、本当のところ、邵可は息子とも思っている静蘭に、
もっと自由に羽ばたいてほしいと思っていた。
自分も秀麗も、例え離れようが静蘭の事を忘れたりなどしない。
その事を、静蘭に解って欲しいけれど、それは自分の我儘かもしれないとも思っていた。
 
けれど。
 
簡単なことだったのだ。
楸瑛と絳攸が邸を訪れるようになってから、自然と静蘭の口数は増えた。
彼の氷を融かしたのが藍楸瑛だということは、静蘭は決して認めないだろうけれど。
 
邵可にとってはきっかけなど何でもいいのだ。
ただ静蘭が幸せになってくれればそれでいい。
そう思いながら、打打発止を繰り広げる静蘭と楸瑛を見ていた。
 
そこに秀麗が声をかける。
「なぁに、父さま? どうしてそんなに嬉しそうなの?」
言外に、なにをぼぅーっとしているのと、少しの非難を滲ませている。
 
随分と感傷に浸ってしまっていた様だ。
邵可は愛娘に微笑みながら問いに答える。
 
「すまないね、秀麗。幸せだなぁと思っていたのだよ」
「……どうしたのよ、急に?」
「新鮮な花を活けて、家族とその友人とで美味しい菜を囲む、これ以上に幸せな時間はないよ」
秀麗もそう思うだろう? そう言いながら笑う。
「そうだけど……」
 
急にそんなことを言うなんて、
相変わらず父さまはちょっとずれてるんだからとぶつぶつ言いながら、
秀麗が茶を入れに席を立ち、続いてそれを手伝うために静蘭が席を立つ。
 
残された邵可の正面で、紫色の花が瑞々しく揺れている。
 
明日朝早くに、きっと府庫に現れるであろう劉輝の事を思って、邵可はまた少し笑った。
 
 
 
 
第三話
 
四日に一度の食事会の後、
これも恒例となった勉強会の為、絳攸は秀麗と共に室へと移動する。
 
残された三人のうち静蘭は片付けを担当し、
邵可は邵可で読みたい書物は尽きないらしく早々に自室へと戻ることが多いから、
自然と楸瑛は手持無沙汰になる。
 
ついうっかり口を滑らせたのは、我ながら軽率だったと思う。
なんせ、相手は静蘭なのだから。
けれどもつい、持ち前の調子の良さで
うっかり後先考えずその場の雰囲気で言ってしまったのだ。
 
もしも、なんて口にするのも馬鹿馬鹿しいけれど、それでも思わずにはいられない。
もしも、あの時に戻れるならば、あんな事を言ったりはするものか。
 
そう。
 
「静蘭、私も片づけを手伝おうか?」 などと。
 
その瞬間のことは本当によく覚えている。
 
ゆっくりと。
元公子様の美しい顔は、これ以上ないほど美しく、そして邪悪に微笑んだのだ。
そう、ゆっくりと。
 
仙女もかくやと言うほど美しい瞼が少し細められるその間、
当代一の絵師をもってしても写し取ることは不可能と思われるほど絶妙の形をした唇の端が少し上げられるその間、
本当に瞬きするほどの時間であったに違いないのに、
楸瑛はその間、永遠ともいえるほどの恐怖を味わった。
 
失敗した。
 
そう思った時には遅かった。
調子に乗って吐き出した言の葉を、取り返す隙すらも与えずに、美貌の元公子様は仰った。
 
「折角の藍将軍のお申し出、無下にする訳にはまいりませんね」と。
 
「いやっ、良いんだよ!
足手まといになってその時に睨まれるくらいなら、
今スグに断ってくれていいんだよ!」
……と口にする事は出来なくて、
ただ、心の中でその言葉だけが虚しく響く。
 
かくして、食事会の後に静蘭の監視の元、皿洗いに精を出すことになった楸瑛であった。
 
四日に一度欠かさずの食事会で、四日に一度欠かさず静蘭の指導の基におかれれば、
自然と気を付ける事は解ってくる。……筈だった。
 
自分は決して要領の悪い方でも、不器用な方でもないと自負していた楸瑛だったか、
静蘭のねちっこさ、もとい、細やかさは想像以上だった。
 
今日も。
 
「藍将軍」
 
そう呼ばれると、思わず直立不動の姿勢を取ってしまう楸瑛であった。
思わず大将軍にするように、返事をしてしまいそうになり、流石にそれは踏みとどまる。
「は、……せ、静蘭。なにかな?」
 
いつも余裕が信条の筈なのに、どうも静蘭相手だと調子がくるってしまう。
そんな気持ちをひた隠しにしながら、今日は何に難癖をつけられるのだろうと怯える楸瑛であった。
 
静蘭が手にしているのは、白い大皿である。
今日はその皿には、確か、絳攸が好む、鶏と葱の菜が盛られていた。
その皿の、高台の内側の一部分を撫でながら、悪魔が微笑む。
 
「藍将軍、このあたり少し、油が残っております」
 
「……う、ハイ。申し訳ない、デス」
 
「残念ですが、今日も、全て洗い直しですね。
それではまず、水を汲んできていただきましょう。
洗い直しすることも無ければ、明朝まで充分足りるはずだったのですが……」
 
華やかな微笑を浮かべながら、絶対服従の命令を下される。
無言で桶を手に取ると、もう慣れた道になってしまった井戸への道へと歩を進めた楸瑛であった。
 
仮にも紅家直系の邵可と秀麗の住む屋敷は、それに相応しい広さを有している。
ただ、その格式と広さに見合った草木などは無く、
それがいっそう広さを協調するようだと、いつも楸瑛は感じていた。
 
静蘭しか家人がいない事に加え、
先の王位争いの際に食物になるものは全て街の人々に提供したと聞いている。
 
後宮の桜を見上げていた秀麗。
その秀麗に後宮の花を送った劉輝。
そして、自覚は無いだろうが不機嫌そうに花を抱えていた絳攸。
 
三人の顔が順番に頭に浮かぶが、楸瑛はすぐに頭を振る。
いずれ、当人たちが選ぶ事。自分が口出しする事ではない。
 
そう思うと楸瑛は、美しい魔王が待つ厨へと急いだのだった。
 
 
 
第四話
 
今日の絳攸さまは、なんだかご機嫌が悪いみたい。
 
先日の勉強会で出された課題に目を通す師を見ながら、秀麗はそっと溜息をこぼす。
 
何があったのか分からないが、いつもにも輪をかけて口数が少なく、
その上秀麗のまとめた課題を見る彼の眉間には、いつもより深く皺が刻まれている。
 
お仕事でお疲れなのかしら? 
それとも、課題の出来が悪いと呆れていらっしゃる? 
そんな事を思いながら師の様子を伺っているうちに、
開け放した窓から風が吹き込んで卓子の上の紙がパタパタと音を立てたので、
秀麗は慌てて立ち上がり、窓を閉めた。
 
窓際の抽斗(ひきだし)の上には、今日、静蘭が持ち帰ってくれた紫陽花を活けてある。
ふと気になって、花瓶に刺さったその紫陽花の形を整えて振り返ると、
先程まで課題の書類に目を通していた筈の絳攸と目が合った。
 
急に、秀麗の心臓がとくんと大きく跳ねる。
(絳攸さま、課題を見ておいでとばかり思ったのに……。だからびっくりしただけよ)
 
なぜか自分に言い訳している事にも気付かぬまま、秀麗は急いで絳攸の隣へと戻る。
そっと背筋を伸ばしたままで、しばらく師の様子を伺うが、
じっと見つめられるだけで、彼は口を開こうとしない。
その間にも。秀麗の心臓は、とくとくとやけに大きく音を立てて拍動を刻んでいる。
 
「……、あの、出来があまり良くなかったのでしょうか?」
沈黙に耐え切れず、思わず口を開いてしまった。
 
恐る恐る問うたその言葉に、絳攸は弾かれる様にして反応する。
 
「え?出来……? 
あぁ、か、課題はまぁまぁだ。
先日教えたところを踏まえて良くまとめてはあるが、全体的に浅い。
重要だと思う部分については、もう少し深く言及する事を心がけたほうが良いな、特にこの……」
 
そう言って書類を繰ろうとした絳攸の手元から、
どうしたはずみか、紙片が数枚空を舞い、ひらひらと床へ落ちる。
 
それを拾おうと反射的に手を伸ばした二人の指の先が、ぶつかる。
 
その指先から、急に全身がかっと熱くなった様な気がして、また秀麗の心臓は大きく跳ね、そして思わず息を止める。
そうしてそっと顔を上げると、再びとくんと心臓が跳ねた。
 
すみれ色の瞳が自分に向けられている。
そう思ったとたんに、今度は頬が紅潮していくのが、鏡など見ずとも解った。
 
くらり、と眩暈がして、思わずその場にしゃがみこんでしまう。
「ど、どうした、秀麗。大丈夫か」
心配そうに声を掛けられるけれど、何故だか絳攸の顔を見る事ができない。
「だ、大丈夫です。少し、立ちくらみがしただけです。しばらく、こうしていれば……」
床を見つめたままで何とか返事をする。
 
ところが。
 
「本当に大丈夫か?」
絳攸さまは立っているはずなのに、どうしてこんなに耳の傍で声が聞こえるのだろう? 
そう思った次の瞬間に、額にそっと掌を当てられる。
 
一日中筆を握るが故に節くれだった、自分のものよりも大きな掌。
「……秀麗、熱があるんじゃないのか、こんなに熱い、っとすまん。つい」
そう言うと絳攸は慌てたように、額から手を離す。
 
心なしか熱を帯びた大きな掌が離れていく瞬間に、何故だか寂しいと秀麗は思った。
 
「とにかく、今日は休んだ方がいい。
その代わり、次回みっちりと今日の分まで教えるから、それまでに治しておくんだぞ」
 
そう言うと、絳攸は、席を立つ。
居間まで送ろうする秀麗を制し、病人は休んでおくようにと再度伝え、絳攸は居間へと向かったのだった。
 
 

第五話
 
おかしい。この家の居間は、移動したのだろうか。
 
そう思いながら絳攸は廊下を歩いていた。
 
三人暮らしとは言え仮にも紅家直系の邵可の住まいである。
その広さは、黎深の住む貴陽紅家には及ばずとも、貴族と邸として見ても充分なものであった。
ただ、その広さが仇となり、静蘭だけでは手が回らないらしく、
しょっちゅう雨漏りしたり、壁が崩れたりしているらしい。
 
けれど、そんな家の様子を話す秀麗の様子はどこか楽しげで、
この家で、秀麗と静蘭が積み重ねてきた時間をまざまざと見せつけられるような、そんな気がした。
 
主上からの花を渡した際に、秀麗の室には既に静蘭の持ち帰った紫陽花を活けたと言っていた。
窓を閉めた際に、秀麗がその花を愛しげに直している姿を見て、なんだか気分が悪くなった。
秀麗に似合うのは、紫の花なんかじゃない。
そんなことを思っていると、後ろから声をかけられる。
 
「あれ、絳攸。勉強会は、もう終わりかい?」
 
振り返ると、楸瑛がなぜか両手に水の入った桶を持って立っている。
 
「……、秀麗が少し体調が良くない様なんだ。
だから今日は切り上げた。
お前こそ、どうした。
……いや、聞いた俺が悪かった。今日も洗い直しか」
 
「秀麗殿の勉強を見ないなら、キミも手伝ってくれるよね」
 
「手伝わないで帰れるものなら、帰るが、それを静蘭が許すとは思えんな」
 
「そういうことさ。ところで、なんだか考え事をしているようだったけど、どうかしたのかい?」
 
相変わらず無遠慮に、聞いてくるなと思いながらも、絳攸は何の気なしに返事をする。
 
「いや、秀麗はきっと赤い花が似合うだろうと思ってな」
それを聞いた楸瑛は、一瞬言葉を無くし、次いで笑いながら言う。
 
「そうかな。私は、案外藍色の花も似合うと思うけれどね。今度、私も花を送ってみようかな」
「黎深さまに知られたら、ただじゃ済まないぞ」
即座に止めておけと言われ、また楸瑛は笑う。
「おい、笑い事じゃないぞ。おまえが考えなしで無鉄砲なのは知っているが、そんなに死にたいのか?」
 
真顔で問われ、楸瑛としてはますます笑いがこみあげてくるのだが、
真剣に心配している様子の絳攸を顔を見て、何とか堪えた。
 
かわりに、絳攸に告げる。
「いや、折角キミが忠告してくれたのだから、止めておくよ。
それより早くいかないと、静蘭に何を言われるかわかったものじゃないよ。急ごう」
 
そう言うと、楸瑛は、絳攸が先ほど来た方向へと歩を進める。
絳攸も何も言わずにその背中を追う。
 
絳攸の一歩前を歩く楸瑛の表情は、絳攸には見えない筈。
そう思いながら、楸瑛は密かに、笑みを浮かべる。
友人がその心を自覚する日に思いをはせながら。
 
その時は私の出番だね、そんな勝手なことを思っていた楸瑛だったが、
厨所で待っていた静蘭に、戻りが遅いとまたしても嫌味を言われたのだった。
 
 
 
あとがき、という名の言い訳
 
どうも、久々の更新の小鈴です。
一ヶ月半ぶり?位です。
 
オフ原稿書いててサイトと違う書き方をしようと四苦八苦したのですが、
終わってみると、サイトの書き方を忘れていました。
今回のお話も、自分では、ちょっと今までのサイトの話と違う様な気がしているのですが、
読んでいただいた感覚はいかがでしたでしょうか?
 
李姫中心で書く筈が、静蘭と楸瑛が激しく出張っています。
これがここ一カ月の私を反映している、としか言えないし、ここに関して言い訳できません。
 
今までもそうでしたが、やはり季節のお話を書くのが好きです。
単に他のネタを思いつかないとも言いますが。
今の時期はやはり紫陽花でしょう♪ということで例のごとくネットで検索。
タイトルに使った「八仙花」は漢名です。
 
あまり紫陽花関係していないお話になってしまいましたが。
紫陽花はその色のごとく、沢山の花言葉を持つお花です。
移り気 高慢 無情 辛抱強い愛情 冷淡 一家団欒 元気な女性 などなど。
そんないろいろな表情が、いろいろな人のいろいろな気持ちを想像させてくれました。