My Sweetie 1
 
 
 
 
 My Sweetie
 
 
 
 
 
 
 
「ねぇ絳攸、何でこんなことになったんだろう?」
 
「…お前のその口が、いつもながらに軽はずみなことを言ったからだろう。」
 
「そこ!何をしている。騒がしいぞ。本当に教えを請う気があるのか。」
 
飛んできたのは、殺気。
 
その態度は傲岸不遜そのもので、間違っても主家の娘婿や妻の兄に対するものではない。
 
そして鋭い視線の奥底に心なしか浮か、楽しむような光。
 
獲物を甚振る豹のようだ。
 
そしてこの場合、獲物とはもちろん、絳攸と楸瑛を意味する。
 
文官武官として、それぞれそれなりの場数を踏んでいる二人の背中にも
 
冷たいものが流れ落ちていくのを止めることはできない。
 
なぜ、この二人が飛んで火に入る夏の虫の様な事をしてしまったのか。
 
 
 
ことは三日ほど前に遡る。
 
絳攸と楸瑛は、劉輝の執務室からの帰りいつものように世間話に興じていた。
 
「そういえば絳攸。ホワイトデーはどうするんだい?」
 
「……ほ、ほわいとでー?」
 
何だそれはと目で問うてくる友人に、楸瑛は頭を抱えた。
 
彼の妻である秀麗の苦労が図り知れるというものである。
 
 
 
 

My Sweetie   ②  に続く 

 
 
 
 
 
 
 
 
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