絳攸は秀麗をいったん立ち上がらせると、彼女のベッドへと連れて行く。
そうしてベッドに腰かけた秀麗と視線を合わせ、再度問う。
「本当に、いいんだな?」
秀麗は再び無言のままで頷いた。
そのままそっと、彼女を横たえる。
一つの皺もなく整えられたシーツとその上に広がった黒い髪、
そして彼女の身にまとう制服が、ひどくアンバランスで、そして扇情的だ。
秀麗の体を跨ぐ様に両ひざをついて、上体を倒し、両の掌で秀麗の髪を撫でる。
それに答える様に秀麗が口を開く。
「絳攸さま、大好きです。」
「あぁ、俺も秀麗を愛している。」
そう言って漸く口付ける。
最初は浅く、次第に深く舌をからませ合っていく。
やがて絳攸は一旦唇を離すと、
秀麗の制服の襟元に手を懸け、ゆっくりとスカーフを解いた。
そうして、首元に、そして耳にと舌を這わせながらその掌は制服のボタンを外していく。
全てのボタンを外し、制服を寛げると、
純白の下着に覆われた双丘が姿を現した。
まずは顕わになっている白い肌にゆっくりと唇と這わせる。
今まで触れられたことのない感覚なのだろう。
秀麗の体に口づけるたびにわずかに強張るのが分かる。
その緊張を解いてやる様に再度唇に口づけする。
温かな口腔内を味わいながら、そっと胸の膨らみに手を伸ばす。
すると秀麗があっと声をあげる。
絳攸はいったん手を離すと秀麗に問いかける。
「……、嫌か?」
秀麗は首を横に振り次いで、消え入りそうな声で答える。
「いや、じゃないです。
でも、小さいから、なんだか絳攸さまに悪いなと思って…。
それに、ほかの方と比べてがっかりされたらどうしようと思ってしまって…。」
「比べる対象がないのにがっかりも何もないだろう。
それに、俺は秀麗と触れ合いたいだけで、大きさなんか気にしない。
秀麗、どうする?」
比べる対象がないという絳攸の言葉に、秀麗は心底安堵したような表情を見せた。
秀麗はきっと、年上で家庭教師であった自分を、
無意識に自分よりも大人で、余裕があると思っているのだろう。
わざわざ言って聞かせることでもないと思い
そのようなことを話したことすらもなかったが、
絳攸とてこのようなことは初めてで、余裕などありはしない。
けれどただ、秀麗を大切に思う心それだけが、何とか理性を保たせているだけだ。
彼女を悦ばせる技巧など持ち合わせているはずもない。
乱暴にしないように、傷つけないようにそれだけを繰り返し考えている。
だから早鐘のように高鳴る心臓も、
力づくにでも彼女のすべてを今すぐにでも我が物にしてしまいたいという欲望も、
なんとか抑えているのだ。
そのような絳攸の心が届いたのかは判らぬが、
秀麗は心なしか表情を和らげると、絳攸の手をとりそっと自らの膨らみへと導いた。
「触れられたら、どきどきしているのが、伝わっちゃいそうですね。」
「それなら触れている俺だって鼓動が伝わってしまいそうだ。」
そんな会話を交わしながら、口付けを、次いで愛撫を再開する。
絳攸はそっと秀麗の胸を覆う下着をずらして、直接に肌に触れる。
ほかの部分もそうだが、秀麗の肌はすべらかで、手に吸い付くようだ。
それに秀麗は気にしているようだったが、この感触は確かに女性特有のもの。