my medicine 絳攸と秀麗

 

 

 

my medicine
 
 
~絳攸と秀麗の場合~
 
 
 
夢を、見ていた。
 
 
また、おいて行かれる夢。
 
暗闇の中で、待っても待っても、誰も迎えに来てくれない。
 
そのうち、誰を待っていたのかも忘れてしまった。
 
それでも、待つことをやめようとは、露ほども思わなかった。
 
 
 
 
涙など、とうに枯れ果てたはず。
 
それでも喉の奥から嗚咽が漏れる。
 
 
 
いかないで、このてをはなさないで。
 
 
 
そうして差し出した手を、思いもかけず握り返される。
 
 
「…さま、絳攸さま。」
 
呼びかけられて、覚醒する。
 
枕元で自分の手を握るその人の目には、少しの心配と、そして確かな愛情が宿っている。
 
込み上げた喜びに、思わず愛しい人の名を呼ぶ。
 
「秀麗。」
 
「はい、絳攸様。お側におります。」
 
欲していた、応え。暗闇から自分を救いあげてくれたその人には、自分の心が読めるのだろうか?
 
「うなされておいででした。お仕事がお忙しいのはわかりますが、少しは周りの方に甘えることをなさいませんと。
 
もう少しご自分を労わって下さいませ。」
 
自分を一番甘やかすその人が、そんな事など気付いていない様子で話す仕草が、たまらなく愛おしい。 
 
ふと思いつき、目の前の可愛い人に告げる。
 
「そうだな、たまには、甘えるのもいいかもしれない。」
 
細い腰に手を回し、寝台の中へと絡めとる。
 
「ちょっ、ちょっと、絳攸様?」
 
驚いて何事かと問う唇を、自分のそれで塞ぐ。
 
 
 
全く、こんな行いは自分らしくない。だけど、いいだろう?君だけなんだから。
 
「秀麗が隣にいると、疲れがよく取れるんだ。だから、いいだろう?」
 
否と言わせるつもりもないが。
 
腕の中の恋人は、目を見開き、顔を真っ赤にしている。
 
そうしてその後、小さく頷いたのを確認し、絳攸は再び眠りについたのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
あとがき、という名の言い訳
 
絳攸さまが、絳攸さまが……。
 
あなた誰ですか?並に頑張ってくれました。
 
計算じゃなくて天然でこんなことされたら…と一人考えるだけで興奮です。
 
休みの日にだらだらする二人って、想像しにくいけど、だらだらさせました。
 
 
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