み・せ・て

 

 

 

注意:このお話は、以前日記に掲載した作品の再録です。
現代芸能界パロディー
秀麗:タレント
絳攸:マネージャー
お付き合いはしていません。
 
そして、後半は2パターンあります。
ひとつは、小鈴が書いたもの。
そして、もうひとつは、☆スピカ☆のはっちさまに無理を言って、妄想を強奪したものです。
途中枝分かれを用意しておりますので、それぞれのバージョンをお楽しみください。
そしてほんのり桃色注意報ですので、苦手な方は回避してください。

以上御理解いただけた方のみ、スクロールで本文へお進みください。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

女優・秀麗
 
 
 
紅秀麗は困っていた。
 
自宅の鏡の前で。
明日は某グラビア雑誌の水着撮影がある。
女優として売り出し中の秀麗は、普段はあまり露出度の高い衣装の仕事は引き受けないのだけど、
今回は少し事情があった。
 
女流有名フォトグラファーの碧歌梨が直々に、
秀麗の水着姿を撮りたいと指名してきたのである。

しかも、秀麗なら撮るけれど秀麗以外ならその仕事は受けないと出版社に条件を付けたため、
出版側から、破格のギャランティと、表紙・巻頭特集という超優良条件を提示された。

碧歌梨が撮るということはそれだけの価値があるのだ。
 
それでも秀麗と、マネージャーである絳攸は
そういった仕事は秀麗のイメージから外れるから断ろうと話し合っていたのだけれど、
話が楊社長の耳に入るや否や、社長から先方へ承諾の返事をしてしまったのだ。
 
その仕事が決まってからというもの、絳攸の機嫌はすこぶる悪い。

普段は、現場への行き帰りにも、
口数こそ多くないものの、秀麗を労わるように優しい言葉をかけてくれたりするのだが、
ここのところは普段に輪をかけて無口になっている。
 
そしてそこに漂う空気が、ピリピリと張りつめていて、秀麗から話しかけることも憚ってしまった。
 
この仕事は自分のこれからの仕事に大きく影響を与えるものだ、
それは秀麗も理解している。
けれど、絳攸がここまで不機嫌になるとは、自分はそこまで信頼されていないのだろうか。
失敗して、今後に悪影響が出ることを心配しているのだろうか?
そう思いながら、手持ちの水着をいくつか着てみる。
 
確かに、グラビア雑誌の表紙を飾るのには、自分の体躯はやや寂しい。
寂しいがしかし、碧歌梨が直々の指名なのだ。
そういった部分も込みで自分でいいのだと信じたい。
本当はマネージャーの絳攸にこそ、自分でいいのだと言ってもらいたいのに。
 
そんな時、インターホンが鳴った。
こんな時間に誰が?と訝しみ、モニターを確認すると、そこには絳攸が立っていた。
「絳攸さん、どうしたんですか?」
「…あけてくれ」
なんだか話がかみ合わないなと思いながら、
秀麗は急いで水着の上に丈の長いパーカーをはおり、ドアを開ける。

こうやって直に顔を合わせると、彼にしては珍しく、ひどく酒臭い。
彼は確か、酷く酒に弱いはずだ。
「絳攸さん、大丈夫ですか?」
「だいじょうぶ?なんでら?」
呂律も回っていない。
「ちょっと、酔っぱらってるんですか?とにかく中に入って……」
「おれは、よってない。よってないぞ、しゅーれい」
いやいやどう考えても酔っ払いですから、
そう思いながら、彼の手を引きリビングのソファに座らせる。
途中何度か、右に左にと壁にぶつかってごつんごつんと派手な音がした。

「とにかく、お水を飲んで、少し酔いを醒ました方が…」
そういってキッチンから水を取ってこようとする秀麗の腕を、絳攸ががしっと掴む。
「しゅーれいは、しゅーれいは、よっぱらいは、きらいか?」
さっきまで強気だったのに、急に甘えるような目で聞いてくる。
優しい瞳は何度も見たけど、彼のここまで無防備で甘い表情は見たことが無い。
何故だか心臓がとくんと跳ねた。
「き、嫌いじゃないですけど。明日のためにも酔いを醒ました方が……」
「そーか。ところでしゅーれいは何をしていた?」
相変わらず話があっちこっちに飛んで、脈絡というものがまるでない。
「……、明日の撮影の準備を」
「じゅんび?」
「えぇ、ちょっと水着を選んでいました」
「……みせて」
 
 
 

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